星の王子様 サンテグジュペリ 池澤夏樹 訳

アントワーヌ•ド•サンテグジュペリ1900年6月29日〜1944年7月31日。フランスのパイロットが書いた物語。名作中の名作。何回も読んだことがありますが、きっとサン=テグジュペリは本当に砂漠で小さな惑星の王子様に出会ってしまったのだろうな、これは実話なんだろうな、と思って毎回読んでいます。宇宙は広いから、惑星間を行き来するような宇宙時代が到来するのに、1番邪魔になるのは肉体で、肉体は殻であって、本質は肉眼では中々見えないということも納得です。キツネさんとのやり取りも素敵です。絆って、どういうことなのかってのを丁寧に説明してくれていました。読むたびに、新しく気になる一節が見つかります。それから、黒柳徹子様が寅さんで有名な渥美清氏にプレゼントした事があるって、徹子さんの色んな本に書かれています。

日本小国民文庫 世界名作選(2) 山本有三編

「日本小国民文庫」(全十六巻)の第十五巻にあたる「世界名作選(2)」の復刊です。「世界名作選(1)」同様、ケストナー、チェーホフ、リンドバーグ等、児童図書とは思えないような作家の作品が、子供にも理解しやすい文章に翻訳され、綴られています。マーク・トウェイン著「壁を塗るトム・ソーヤー」は、商売の仕組みが子供の世界の中で捻り出されていて、そのズル賢さが、子供ゆえに可愛いと感じました。似たようなことを小さい頃、友達にした事があるな、と。あの頃、このお話を読んでいたなら、もしかしたら、物凄い実業家になっていたかも知れない!なんて、思ってクスッと笑ってしまいました。あとは、アン・モロー・リンドバーグの文章。戦前の日本を外国人はどう見たのか、を感じ取る事が出来ました。とても素敵な文章です。何故か、宮崎駿監督の顔が浮かびました。ジブリ作品の飛行船乗りたちが頭の中をよぎります。また、有名なオスカー・ワイルド著「幸福の王子」も。愛と優しさの詰まったずっと心に残る名作。何回読んでも涙がでます。本当に、このような美しいお話を厳選し、翻訳し、子供を立派な小さい人として扱い、一流の文学を与えて道を示していたのだろうと思うと、昔の日本のレベルの高さに驚愕します。「世界名作選(1)」同様、愛と優しさと、人生の苦悩を学ばせてくれる尊い一冊です。

日本小国民文庫 世界名作選(1) 山本有三編

昭和十年から十一年にかけて、予約出版の形で刊行された「日本小國民文庫」(全十六巻)のうち、美智子上皇殿下御推薦図書として戦後復刊されたのが、第十四巻の「世界名作選(1)」です。黒柳徹子様も幼少期に愛読されていたそうです。トルストイ、アインシュタイン、ケストナーなど錚々たる天才たちの小さなストーリー集。子供は大人よりも感受性が強い。だからこそ、いろんな環境の、いろんな主人公の、理不尽だったり、奇跡的な喜びだったり、を擬似体験して、生き方を学ぶことのできる素敵な本だと思います。徹子様は「点子ちゃんとアントン」エーリヒ・ケストナー著 高橋健二訳が一番のお気に入りだそうですが、私も同じく一番好きです。点子ちゃんの聡明で元気でユーモアがあって、そして何より優しいところがどことなく、、トットちゃん、そう、徹子様と同じ空気がしました。もう子供時代は大昔になってしまった大人が読んでも、本当に人としての学びがある本です。人生って、どうしようもない理不尽な出来事や、一人では解決出来ない問題の連続で、時々忘れた頃に嬉しい事があったりなかったりもするけれど、それぞれの物語の登場人物たちが、色んな学びを見せてくれます。戦前の日本教育の質の高さを肌で感じました。愛と優しさの大切さ、そして苦悩をのりこえる時の勇気を教えてくれる素晴らしい本です。